ボカロ出身アーティストも、作詞作曲編曲すべてをひとりで手掛けるアーティストも、最近では珍しくないけれど、Lavtは何かが違う。自然と体が揺れるダンサブルなビートや耳に残るギターリフといったサウンド面でのクオリティの高さもそうなのだが、Lavtの曲には人格を感じられる。怒りや情熱、虚しさ、愛といった人間の本質的な感情が手に取るように伝わってくる。それはライブに足を運べば一目瞭然で、終演後に強く心に残っていたのは、洗練されたサウンドメイクよりもLavtの歌のほうだった。目の前のお客さんに楽しんでもらいたい。ポジティブな気持ちを持ち帰ってほしい。ありのままの姿で言葉を大切に歌うLavtの姿は、自分自身をすぐ見失いそうになるSNS時代に、どんな暗闇の中でも目印となる灯台のようだった。だからLavtの音楽は、決してネット上の現象だけには留まらない、今の時代を生きる不特定多数の人の心を刺す事ができると確信している。
インタビュー=有本早季 撮影=野口悟空
(『ROCKIN'ON JAPAN』2025年8月号より抜粋)
『ROCKIN'ON JAPAN』8月号のご購入はこちら
*書店にてお取り寄せいただくことも可能です。
ネット書店に在庫がない場合は、お近くの書店までお問い合わせください。