26歳、まだまだ今後が楽しみ

ニコラス・ジャー『セイレーンズ』
ニコラス・ジャー セイレーンズ
デイヴ・ハリントンとのユニット=ダークサイドは、13年のアルバム『サイキック』で高い評価を得ながらも残念ながら解散してしまったが、ニコラス・ジャーは5年ぶりのソロ・アルバムとなる本作をリリース。日本盤はボーナス含め全7トラック/47分強というヴォリュームだ。精微で生々しいダウンテンポ/コラージュ・ミュージックという点ではダークサイドと通ずる部分もあるものの、このソロ作の方がよりプライヴェートな息遣いと奔放なイマジネーションに満ち溢れていて僕は好きだ。これは優劣の話ではなく、単純に好みの問題である。3曲目“ザ・ガヴァナー”はオーガニックな手作りドラムンベースで歌うベックといった趣だし、5曲目の“ノー”はアフロ/レゲエ・テイストのアーシーで情感豊かなポップ・ソングに仕上げられている。美麗なピアノやホーンのサウンドをエレクトロ・ノイズと等価に処理し、ボーダーレスなポップ空間を構築する手捌きは、機能性と芸術性を両立させる優れた建築デザイナーのようである。モータウン・バラードのようなほっこりチャーミングな “ヒストリー・レッスン”には思わず笑みが零れた。(小池宏和)
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