メタル温故知新の結節点の記録

トリヴィアム『エンバー・トゥ・インフェルノ:アブ・イニシオ』
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ALBUM
最新7th『サイレンス・イン・ザ・スノー』を携えて、4月に7年ぶりのジャパン・ツアーが実現したトリヴィアム。彼らの16年ラストを飾るアイテムは、廃盤となっていた1st『エンバー・トゥ・インフェルノ』に未発表音源や自主リリースEP曲など、レア・トラックを同梱した「初期トリヴィアム解体新書」的な2枚組音源集。スクリームとクリーン・ヴォイスを駆使して、熾烈なアンサンブルとともに透徹した闇を描き上げていくトリヴィアムの表現世界が、すでに1stの時点で揺るぎなく轟々と渦を巻いていることを、“ピラーズ・オブ・サーペンツ”や“フーガ(ア・レヴェレイション)”をはじめ『エンバー・トゥ・インフェルノ』の楽曲群は明快に物語っているし、後に出世作2nd『アセンダンシー』に収録される“ライク・ライト・トゥ・ザ・フライズ”の別ヴァージョンなどを収めたディスク2からは、バンドの「その先」へ向けた進化の息吹がリアルに窺える。オールドスタイルへのリスペクトも、メタルコアの探究精神も抱えながら爆進し、メタル新世代を担う存在へと成長したトリヴィアムの、大いなる第一歩のドキュメントと呼ぶべき記念碑的な作品だ。(高橋智樹)