『ROCKIN'ON JAPAN』がお届けする最新邦楽プレイリストはこちら
エレキギターはエフェクターやアンプのセッティングによって多彩な音色を響かせられる楽器なので「ギターロック」には幅広い形があり得るが、このバンドの主軸となっているのは、精緻に空間を彩って空気感を醸し出すスタイル。ディストーション、オーバードライブ、ファズなどに代表される歪みサウンドで全体をグイグイと牽引するのではなく、効果的に使用するコーラス、ディレイ、リバーブなどの空間系エフェクトと明確に定位が設定された各楽器パートのコンビネーションによってアンサンブルを構築している。“ほがらかな呪い”も、まさしくこの手法が凝縮された曲だ。シンプルなバッキング、ピチカートのようなささやかな響き、アルペジオ、リバーブを効かせた音像など、様々な音色のフレーズを交わし合いながら、まどろみのような感覚とメランコリーの狭間を描いた歌の世界を表現している。聴覚だけでなく全身の皮膚でも感じ取れる繊細なニュアンスを、ぜひ実際に聴いて確かめてもらいたい。(田中大)(『ROCKIN'ON JAPAN』2025年1月号より)
『ROCKIN'ON JAPAN』1月号のご購入はこちら
*書店にてお取り寄せいただくことも可能です。
ネット書店に在庫がない場合は、お近くの書店までお問い合わせください。