時代の炭鉱でがなるカナリア

スリーフォード・モッズ『イングリッシュ・タパス』
発売中
ALBUM
スリーフォード・モッズ イングリッシュ・タパス
過去数年、イギリスで高く評価されると同時に反発も引き起こしてきたお騒がせな野郎デュオが名門ラフ・トレードとの契約を経て遂に日本デビュー! ベージュで曖昧なこの時代に好き/嫌いがはっきり分かれるリトマス試験紙のような彼らの存在は貴重だし、無視したくても無視できないこのノイズに触れる人が邦盤化を機に増えるのは素直に嬉しい。

ラップトップ・ビートに乗せてストリートなポエトリーを濁流させるスタイルはいわばポスト・パンク×UKヒップホップで、そのローファイぶりを「非音楽」とこきおろす、あるいは「口汚い罵声だ」と眉をひそめる者もいる。しかし暗部や汚物から目を逸らすことなく彼らが描き出すモダン・ライフとそこに向けた怒りや苛立ちはリアルだし、殺菌処理・加工されない当事者としての声に宿る説得力は絶大だ。プロパーなアルバムとしては4枚目になる本作には、イギリスの欧州連合脱退問題~強まる保守傾向が暗い影を落としている。ゆえに過去の作品で浮力の役目を果たしていた不条理なユーモアという「救い」の要素は薄いが、トランプ時代に救いもへったくれもない。心して聴いてほしい。(坂本麻里子)
公式SNSアカウントをフォローする
フォローする
音楽WEBメディア rockin’on.com
邦楽誌 ROCKIN’ON JAPAN
洋楽誌 rockin’on