練りに練られたはての傑作誕生

ザ・ナショナル『スリープ・ウェル・ビースト』

2017年09月08日発売

ザ・ナショナル スリープ・ウェル・ビースト
前作から4年、その間メンバーたちのさまざまなプロジェクトは活発だったもののザ・ナショナルはどこに、という感じだったが、この音が流れ出したとたんそんな空白感は吹き飛ぶ。それほど年月分の試行錯誤がしっかりとわかる素晴らしいアルバムだ。10数年のキャリアをほこり、全米ヒットを出す一方で、60アーティストが集ったグレイトフル・デッドの5枚組大作トリビュート盤をデスナー兄弟が中心となって作るなどと大物っぷりを高めながらも、どこかブルックリンのロフトでしこしことやっている雰囲気がいまもあるのが良い。本作もオルタナ・ポップの王道から美メロものやエレクトロを振りまく曲まで多彩ながら、その一つ一つに初々しさと自信に満ちあふれたオーラの両方が出ている。

前作リリース後、すぐに本作のアイデアは出来ていたそうだが、それを骨子にニューヨーク州ハドソンのアーロンの自宅に作ったスタジオに集まり曲を磨いたり、実験的な試みを繰り返していたという。それをベースに旧東ベルリンのスタジオでコラボレイトするなどアンテナを広げたそのすべてが有機的な音魂となって迫ってくる。 (大鷹俊一)

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