サイダーガールの音楽が「炭酸系」のコピーとともに語られるほど爽快でポップなのは取りも直さず、突き抜けるほどにポップな楽曲でなければ対消滅させられないほどの煩悶を抱えながら彼ら自身が日常を歩んでいるからにほかならない。メジャーデビューシングル“エバーグリーン”にしても、“メッセンジャー”の爆走感にしても、凡退だったり一回戦敗退だったりする生活をネガポジ逆転サヨナラホームランとしてのマジックを求めているからこそ、その曲とサウンドには切実なまでのきらめきと躍動感が宿る――ということが、この1stフルアルバムからは改めて明快に伝わってくる。
そのバンド名やアルバムタイトルは、ナンバーガールの影響を受けた世代感を如実に物語っているが、ダンサブルなギターポップとボサノヴァが手に手をとって弾み回るような“メランコリー”といい、ピアノロックバラード“Fourside Moonside”の王道名曲感といい、それぞれ詞曲を手掛ける3人の音楽性がギターロック〜オルタナの枠を遥かに飛び越えて刻々と成長し続けている図が窺えてワクワクする。(高橋智樹)
炭酸にしか溶かせない想い
サイダーガール『SODA POP FANCLUB 1』
発売中
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