止まらない進化

ぼくのりりっくのぼうよみ『Fruits Decaying』
発売中
ぼくのりりっくのぼうよみ Fruits Decaying
デビューから2年足らずでもう3枚目のアルバムである。止めどもないクリエイティビティの増殖。溢れかえる表現衝動。ぼくりりは恐ろしいほどのスピードで進化し続けている。1曲目“罠 featuring SOIL&"PIMP"SESSIONS”にまず驚かされる。SOILがプロデュースも含め全面参加したアシッドジャズふうのダンストラック。しかも歌詞は性愛の悦楽を鮮やかに描写している。19歳の青年が日々経験する人生の機微が、クリシェ的な定型表現や、手垢にまみれたような決まり文句を一切回避した瑞々しい言語表現で鮮やかに記される。リリックはより具体性を増し、以前の一歩引いたクールネスというより、地に足のついたエモーショナルなものに。この濃厚さと力強さは、プロのアーティストとして現実の社会の軋轢に放り込まれ、生活のすべて、心のすべてが一定の強い感情に支配されどうにもならなくなるような強烈な体験が、彼に健全な成長を促した結果と思えた。サウンド面でもかつてなく多彩で間口が広い。ラップスキルも着実に進歩している。つまりは大人になったぼくりり。だがまだ成長途上である。(小野島大)
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