ふたりのロックの核心

GLIM SPANKY『愚か者たち』
2018年01月31日発売
今度の新曲は、松坂桃李主演の映画『不能犯』の主題歌でもある。人の心を操って殺す男を題材にしたこのサスペンス映画のキャッチコピーは、「愚かだね、人間は――」。新曲が“愚か者たち”と題されているのもコピーに引っかけているのだろうが、それだけではない。松尾レミ(Vo・G)、いしわたり淳治が共作した詞には《愚か者》だけでなく、《漂流者》《野良猫》《酔いどれ》といった言葉が登場する。また、亀本寛貴(G)と亀田誠治共同での編曲で、ザラッとした質感のギターが基調になっている。言葉もサウンドも、GLIM SPANKY特有のやさぐれ感に染められているのだ。

カップリングのうち“In the air”は、四つ打ちを使ったビートにギターと抑え気味のボーカルを乗せ、サイケデリックに仕上げている。一方、キャロル・キングのカバーである“I Feel The Earth Move”は、原曲よりも重いリフと腰の入ったリズムでハードにアレンジした。3曲だけではあるが、GLIM SPANKYによるロックの料理法がどんなものか、核心を示すシングルになっている。聴きごたえ、ずっしり。(遠藤利明)