『BEST HIT AKG』(2012年)以来、2作目となるベストアルバム。収録曲のリリース年代は2012年から2018年。つまり本作が映し出すのは、デビュー10年目以降のアジカンの姿であり、東日本大震災以降のアジカンの姿である。初期特有の青さは薄れ、バンドサウンドの完成度は申し分ない。が、リリース順に並べられた17曲を聴き進めていくと、このバンドが今もなお、発信のしかたを模索し続けているのだということが読み取れるだろう。懐疑心や怒りは直接的に叫ぶべきか、暗喩的に示すべきか。求められる「アジカンらしさ」をどのように更新していくべきか、あるいは不変の部分をどの程度残しておくべきか。伝えることに悩んだり足掻いたりしながらも彼らが鳴らし続ける理由は、まるで所信表明のような、1曲目“夜を越えて”の始まりのフレーズが示す通り。
《音楽はあまりに無力なんて常套句に酔っても/世界をただ一ミリでも動かすことは出来るだろうか》。「それでも」の希望を「だからこそ」の動力に変えて転がり続けるのだ、ロックバンドというものは。(蜂須賀ちなみ)
魔法を信じるかい?
ASIAN KUNG-FU GENERATION『BEST HIT AKG 2 (2012-2018)』
発売中
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