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映画『青春ゲシュタルト崩壊』の主題歌として書き下ろされた楽曲。テーマは、自分探し。自分はいったい何者で、なんのために生きているのか。それは、世代を問わず誰にとっても、決して簡単に答えを出せるものではない切実な問いだ。タイトルとは裏腹に、この曲では、青空が直接的に描かれることは一度もない。曇り空の下、深く内省をして、《涙》も《痛み》も真正面から引き受けながら、自分の輪郭を知っていく。その先にこそ、他者が、《貴方》が、待っている。この曲は、自分探しの旅の先に開かれる、そうした輝かしい可能性を懸命に示唆している。特筆すべきは、《晴れ渡れよ》という言葉をきっかけに鮮烈なギターソロが天高く轟き、激流の如きバンドサウンドが大きく前傾化する中盤以降の展開。いつか空が晴れるのを、ただ待つのではない。その時が必ず来ることを、願い、信じ、そして、自らの意志で実現していく。そうした覚悟の深さを表す逞しい歌と堅牢なバンドサウンドに、3人のロックバンドとしてのさらなる進化を感じる。(松本侃士)(『ROCKIN'ON JAPAN』2025年8月号より)
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