川島道行がこの世から旅立っていった2016年10月9日、その約8ヶ月後の2017年6月18日、20年の歴史に自ら幕を下ろすために行ったラストライブの模様を映像作品化したのが今作。中野雅之とサポートメンバーとで実現させたこのライブは、川島のボーカルをライブ演奏に溶け込むよう響かせながら、その場を体感した誰もが、そこに川島がいることを感じ取り、BBSの最後を見届けることができた特別な夜だった。川島のブレス音、そして始まる“LAY YOUR HANDS ON ME”。姿こそ見えずとも、そこに存在するかのように映し出される波形。まるで彼の鼓動がそこに息づいているかのよう。さらに“MORNING AFTER”や“KICK IT OUT”などのキラーチューン、バラード曲“STAY”など、この日のライブで披露された全13曲を余すところなく捉えている。こうしてBBSの音楽に改めて触れる時、彼らのサウンドは時代性を先取しながらも、デジタルサウンドとしての普遍性を形作っていたのだなと思う。ここに最後の足跡が刻まれて、彼らのサウンドは永遠のものとなった。（杉浦美恵）