“らしさ”を砥いだ面目躍如作

ザ・ヴァクシーンズ『コンバット・スポーツ』
発売中
ALBUM
ザ・ヴァクシーンズ コンバット・スポーツ

西ロンドンの5人組、ヴァクシーンズの3年ぶりとなる4作目のニュー・アルバム。その最大のトピックは、かれらの初期の作品も連想させる荒々しいギター・サウンドだろう。アークティック・モンキーズやフォールも手がけたロス・オートンをプロデューサーに迎え、「初期衝動」という言葉も相応しいラウドさやソリッドな切れ味を取り戻したバンド・アンサンブル。先行シングルの“I Can't Quit”はその象徴的なナンバーだが、一方で、正式メンバーとなったキーボード奏者が潤色を与えるポップネスも大きな聴きどころの一つ。そうした言うなれば、ガレージ・ロックと80sニュー・ウェーヴが織りなすようなコントラストが、「原点回帰」という言葉では捉えきれない多彩な表情を与えている。昨今、英国では若い世代のギター・ロックが目覚ましい活気を見せているが、そうした動きを受けたポジティヴな刺激もあるのかもしれない。新たなブレイクスルーを導く一枚だろう。(天井潤之介)
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