能年玲奈という名前で『あまちゃん』に出ていた頃、プロフィールの好きな音楽に
GO!GO!7188と
つしまみれを挙げていたのを見た時から、基本的にこの人の音楽のセンスは信頼しているのだが、彼女がそのセンスを形にするのを、
矢野顕子や
高橋幸宏や
大友良英や
高野寛などなど、国内屈指の凄腕ミュージシャンたちが大人数集結して手助けした、ファーストフルアルバム。基本パンク、ただしメロコアとかではなくオリジナルパンクで、真島昌利が提供した曲も、本人が書いた曲も、他の作家の曲も、そのテイストだったりするので、
のんのやりたいカラーがこれなのだと思う。作家もプロデューサーもプレイヤーも多数参加しているのに、とっ散らかっていなくて、その芯が通っている。で、「作ってもらった」感がない。というのは、その、本人のやりたいことがまったくぶれなかったということだと思う。音楽をやれることへのストレートな喜びに満ちているのに(特に歌詞が)、イノセントな無邪気さよりも強さやたくましさの方をより強く感じる。いろんな意味でこれからが楽しみになる全12曲。(兵庫慎司)