元晴(Sax)の脱退や丈青(Pf)の右手負傷などの困難を乗り越えて生まれた、前作『BLACK TRACK』以来2年ぶりとなる11thアルバム。既発シングル曲“ユメマカセ feat. Yojiro Noda”をはじめ、“comrade feat.
三浦大知”、“drifter feat.
EGO-WRAPPIN’”など全14曲のうち6曲に多彩なボーカリストをフィーチャーしたことも重要なトピックではあるが、むしろそういったゲスト陣の歌声と攪拌されることによって、彼らのジャズファンク〜アシッドジャズのエッセンスの重厚かつトリッピンな深みが濃密に薫り立ってくるのが嬉しい。ド派手なファイティングポーズを取る作品ではないが、今作のビートとアンサンブルは交感神経レベルで抗い難いグルーブと凄味をもって迫ってくるし、ヒップホップ/R&B/エレクトロ/ドラムンベース/アンビエントなど幅広いサウンドへと越境しながらジャズの核心を捉えてみせる音楽的冒険精神はそのまま、唯一無二のデスジャズバンドとしてのアイデンティティが完全に血肉化されている証でもある。夜の闇と音楽の謎のマーブル模様の如きミステリアスな快盤。(高橋智樹)