そうかPiLももう結成40周年にもなるのか。ジョニー・ロットンを捨てジョン・ライドンに生まれ変わりキース・レヴィン、ジャー・ウォブル等とスタートしたときのロックのイディオムやマナーがガラガラと崩れ落ちた瞬間の快感は、いまでも忘れることはない。そのリアルを改めて知らせてくれるボックスだ。
CD5枚+DVD2枚の構成でディスク{1}は78年から2015年までのシングル・コレクション、やはり第一期のものが圧巻だが“ラヴ・ソング”あたりは初来日の記憶とセットで懐かしい。{2}はレア曲&ラジオ・セッション、度肝を抜かされた“カウボーイ・ソング”あたりも必聴だが、目玉は79年のラジオ〈ジョン・ピール・セッション〉の3トラック。{3}は12”ミックス&ダンス・トラックスで“シアトル”、“ハッピー”のUSリミックスあたりが聴きものだし、12”を集めるのもやっかいなので便利な一枚。
{4}は、“アナリサ”のニュー・ミックスを始め未発表ミックスが中心で、“キャリアリング”のパリ・ライブ版や81年の“ヴァンパイア”が入っていたりとじっくり聴くと発見が多そう。{5}は89年7月ニューヨークのリッツでのライブ14曲。『9』を発表後のステージで、ボーカルの熱量は80年代ならでは。
目玉とも言えるDVDの{6}は、21曲分のMVと88年8月エストニアでのフェス・ライブ。ジョンのキャラからして、変に凝った映像よりも“バッド・ライフ”のような顔のアップで迫るMVの方がインパクトがある。同じくDVD{7}は79〜89年に出演したBBCの番組からの8曲( 80年の“キャリアリング”がベスト)に、13年4月オーストラリアのわりと小さい会場でのライブ。5年前だが相変わらず高いテンションでのパフォーマンスが確認できる。(大鷹俊一)
『ザ・パブリック・イメージ・イズ・ロットン(ソングス・フロム・ザ・ハート)』の詳細はこちらの記事より。
パブリック・イメージ・リミテッド『ザ・パブリック・イメージ・イズ・ロットン(ソングス・フロム・ザ・ハート)』のディスク・レビューは現在発売中の「ロッキング・オン」8月号に掲載中です。
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