ケバい・キツい・かっこいい

ビービー・レクサ『エクスペクテーションズ』
発売中
ALBUM
ビービー・レクサ エクスペクテーションズ

鮮やかなプラチナ・ブロンド、素晴らしく派手でフォトジェニックな容姿、露出多めだが下品にならないファッション・センス、コケティッシュな声と卓抜した歌唱力、そして多彩な音楽性を柔軟に消化した作曲能力。いくつもの才に恵まれたビービー・レクサが、28歳にしてリリースしたファースト・アルバム。アルバニア人の両親のもとにNYに生まれ、スティーヴィー・ワンダー、トーリ・エイモス、ジョン・レジェンドなどを聴き作曲のスキルを磨く。ソングライターとしてエミネムに提供した“ザ・モンスター”(2013年)が全米1位となり、2014年にソロ・デビューを果たした。

ヒップホップ、EDM、R&Bからロック、カントリーまで音楽性も幅広く、エミネム、デヴィッド・ゲッタ、G・イージー、ニッキー・ミナージュピットブルイギー・アゼリアリル・ウェイン、タイ・ダラー・サインといった多彩なメンツともうまく合わせる柔軟性もある。本作でもそれは十分発揮されているが、ゲストの起用は控えめで、イケイケのダンス・ナンバーというよりは、落ち着いた曲調で歌を聴かせるような曲が多い。前作EPに続き本作にも収録されているポップ・カントリー“メント・トゥ・ビー”が全米チャート2位と大ヒットしたことが本作の制作に影響したのかもしれないが、むしろ前述のようなオーセンティックなソウルやフォーキーなタッチの歌ものがルーツでもある彼女本来の志向を反映しているということだと思う。

見た目の派手さとは裏腹に、音楽に向かう姿勢は誠実で、生真面目ですらある。声の良さと歌のうまさ、それを活かす曲の質の高さとアレンジの的確さが光る。すべてが絶妙にバランスしている。アコギをフィーチュアした“ニーズ”にこの人の美点が凝縮している。(小野島大)



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ビービー・レクサ『エクスペクテーションズ』のディスク・レビューは現在発売中の「ロッキング・オン」9月号に掲載中です。
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ビービー・レクサ エクスペクテーションズ - 『rockin'on』2018年9月号『rockin'on』2018年9月号
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