『★』のバンド名演を再び

ダニー・マッキャスリン『ブロウ!』
発売中
ALBUM

デヴィッド・ボウイのあまりにも壮絶な遺作となった『★(ブラックスター)』のバンド・リーダーを任された、サキソフォニストのダニー・マッキャスリンの新作。もともとリーダー・アルバムを十枚以上発表しているベテランだが、今回はやはり、世界規模で190万枚ものセールスを誇る驚異的なヒットとなった『★』の後だけに、これまでになく注目される新作となっていた。

楽曲的にはボーカルを据えたものと基本インストゥルメンタルものの両構えとなっているが、たとえば、オープナーを飾る“ワット・アバウト・ザ・ボディ”などはサックスを軸にしたリフを中心に組み立てながら、かっちりしたボーカルで聴かせていくというダニーの音楽の魅力を最もわかりやすく伝えるものになっている。基本的にボーカルものはこの形を踏襲したジャズ・ロックになっているが、もちろん、ダニー本来の魅力が存分に発揮された楽曲も健在で、そのひとつが9分超えの大作となった“ブレイク・ザ・ボンド”。自身のサックス・プレイと楽曲としての展開の妙を聴かせまくる内容であり、『★』で聴かせたダニーとバンドの魅力全開の曲になっていて、『★』繋がりでこのアルバムを聴いてみたくなった人は必ずはまるはず。バンドはもちろん、『★』の時のメンバーが軸となっている。

さらに4分きっかりでバンド全員が即興演奏を試みる楽曲もあるほか、ボーカルも加えたどこまでも『★』的な楽曲とアレンジを聴かせる“タイニー・キングダム”など、個々の技量も凄いし、トータルなパフォーマンスも文句なしの内容なのだ。ヒップホップ色を強く打ち出した“オープナー”やオーセンティックなジャズ・セッションとなった“ビースト”なども、聴き応え満点になっていて素晴らしい。(高見展)



『ブロウ!』の各視聴リンクはこちら

ダニー・マッキャスリン『ブロウ!』のディスク・レビューは現在発売中の『ロッキング・オン』11月号に掲載中です。
ご購入はお近くの書店または以下のリンク先より。

『rockin'on』2018年11月号