2016年の『Colorful Monster』以来、年1枚のペースでアルバムを発表してきたLittle Glee Monster。前作『juice』以降初のアジアツアーを経験し、「世界に通用するグループ」という結成当初からの目標へと近づきつつある彼女たちの4作目は、得意のモータウン・サウンドを筆頭にした60～70年代のソウルミュージックをより本格的に取り入れながら、同時にJ-POPとしての王道感も増した作品になっている。中でも印象的なのは、“ハピネス”や“青い風に吹かれて”の往年のソウルシンガーのようなしゃくりを使ったボーカルや“恋を焦らず”を筆頭にして多彩になったコーラスのバリエーション。ベースが効いたファンキーなグルーヴを複雑なコーラスで乗りこなす“世界はあなたに笑いかけている”やメロディに寄り添った“ギュッと”で幕を開ける序盤から、ソウルの粋を感じる楽曲群と最果タヒ作詞／水野良樹（いきものがかり）作曲のバラードなどで魅せる中盤。そして「まだ見ぬ人々に歌声を届けたい」という真っすぐな想いが溢れるラストまで、鉄壁の5声を生かした彼女たちの今が詰まっている。（杉山仁）