タイトル曲“No.999”は、テレビアニメ『ゲゲゲの鬼太郎』のエンディングテーマ。こんなにもかっこいいロックンロールを、鬼太郎が大好きな子供たちも無邪気に楽しむことを想像すると心が和む。グラムロックを彷彿とさせる艶めかしさ、酩酊感を誘うサイケデリックな響き、キレ味抜群のビートなど、魅力的な要素が満載だが、歌詞の言葉の響きの良さがなんと言ってもすごい。ぼんやりしながら聴いていると英語圏の極上のロックンロールを聴いているような感覚になる音であると同時に、どん底から立ち上がる力を授けるメッセージがシンプルな言葉で鮮やかに表現されている点に注目させられる。例えば《デスから デスから デスからアゲイン》などは、口ずさんでいるとワクワクが果てしなく高まる呪文めいた音と、深いメッセージ性の粋な併せ技だ。「音の響きの良さと意味の両立」という、あらゆるソングライターが直面する課題を軽やかにクリアしているこの曲の他、柳沢進太郎(G)が作詞作曲をした“触れたら”の美メロも異彩を放っている今作は、
go!go!vanillasの今後の活動への期待も自ずと煽ってくれる。(田中大)