謎と発見の宝庫としての交響曲

岸田繁・京都市交響楽団・広上淳一(指揮)『岸田繁「交響曲第二番」初演』
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岸田繁・京都市交響楽団・広上淳一(指揮) 岸田繁「交響曲第二番」初演
「クラシックの要素を導入」や「ロックとクラシックの融合」の域を超えて、岸田繁が紛れもないクラシック音楽を手掛けるに至ったのは他でもない、バンド音楽越しに多彩な音楽表現を探求してきた岸田にとって、クラシックはその楽曲展開や和声なども含め、現代のポップミュージックに大きく作用し得るだけの謎と発見に満ちた領域だからなのだろう。ということを、前作『交響曲第一番』よりもさらに緊密にクラシックの表現技法の数々を自らの作曲と織り重ねてみせた今作は鮮明に伝えている。

行進曲風の音像を通して勇壮かつ壮麗な音世界を体現する第一楽章、躍動するストリングスの旋律がバロック調の音の王宮を描き出す第三楽章など、全四楽章から成る“交響曲第二番”。第四楽章に取り入れたフィボナッチ数列の拍数進行をはじめ、今作の随所に盛り込まれた趣向もさることながら、前作の経験を経た岸田が「交響曲」という構成と編成にしか描き出せない神秘的なダイナミズムを全身全霊を傾け謳歌していることが、生命力の絶景と呼ぶべきフィナーレの場面から滲んできて嬉しくなる。(高橋智樹)
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