ウルフルケイスケのソロ活動専念後初、そしてレーベル移籍後初のアルバムである。ウルフルケイスケがバンドを離れたことは、（これだけのキャリアを誇るバンドであったとしても）いやが応でもウルフルズの音楽を新たに更新しようとする意識に直結したのだろう。たとえばアルバムの冒頭、“センチメンタルフィーバー ～あなたが好きだから～”に鳴り響くスペーシーな電子音が楽曲の愛嬌を増強させているが、その歌の中身は人を信じて愛することと、愛されること自体が儚くてセンチメンタルだと訴えるもの。切実さこそ愛嬌とファニーさで鳴らし、リズムも歌も転がって止まらないのだという想いこそ優しいメロディに宿す。これまでを愛でながらこれからを情熱的に歌う姿勢が、1曲1曲が放つ彩りと起伏になって躍動する作品だ。この世は最高、君が好き、と、言いたいこと鳴らしたいことだけをドンと置いていく真骨頂のソウルナンバー“パワー”が白眉。『ウ!!!』とはもちろんウルフルズ自身を表す「ウ」と「！」だろう。が、その意味合いすら飛んで越えていく気合いの「ウ！」が端々から聴こえてくる。（矢島大地）