今年2月から3月にかけて開催された全国5大ドームツアー全8公演のうち、東京ドーム2デイズの模様を収めたライブ映像作品。数多くのヒット曲と共に世界最新基準のポップを目指した傑作『POP VIRUS』を携えてのステージではあるが、星野源とバンドメンバーは伸び伸びと自由度の高いパフォーマンスを繰り広げてみせた。たとえば、オーガニックとエレクトロニックが豊かに折り成すサウンドで《機械になりたいんだ 優しさを持った》と歌われる“サピエンス”から、アルバム未収録の“ドラえもん”に繋ぐ構成はドラマティックで素晴らしい。後半では、カップリング曲の“プリン”で和気藹々とした楽しいハイライトを生み出してしまう。人気曲で盛り上がり、卓越した音楽性で酔わせるばかりではない。ドームという広大な空間でこそ、親密なヴァイブを育もうとするトライアルに成功したライブの記録なのだ。その核にあるものが、星野源の歌声なのは言うまでもない。見事なピッチ／リズム制御と心を込めた節回しは、間違いなくキャリア最高レベル。例によって、膨大なボーナス映像も楽しい作品。（小池宏和）