伝統か、はたまた改革か

アイアン・メイデン『フィア・オブ・ザ・ダーク【コレクターズ・エディション】』
発売中
ALBUM
アイアン・メイデン フィア・オブ・ザ・ダーク【コレクターズ・エディション】

UKメタル界の王者、アイアン・メイデンの旧譜を最新リマスター音源でCDリイシューしていくシリーズもいよいよ第3期に突入で、今回は92年〜00年の間に発表された計4枚が新たにリイシューされる。昨年末に始まったこの再発シリーズでは、各期の「選ばれし1枚」が限定コレクターズ・エディション化され、おなじみ「エディ」のフィギュア付きで販売されることも大きな話題なのだけど、第3期でその栄えある「1枚」に選ばれたのは、1992年5月にリリースされた本作だ。

通算9枚目のアルバムとなった本作は、ある意味「90年代のアイアン・メイデンはどうあるべきか?」という問いに、バンドが初めて真剣に向き合った結果の1枚である。初のパワー・バラード“ウェイスティング・ラヴ”や湾岸戦争をテーマとした“殺戮の恐怖”など、果敢に新機軸に挑んだ曲もある。一方、前作で新加入したヤニック・ガーズが本格的に覚醒し、ツイン・ギターの可能性が改めて見直されたのも本作だった。ジャケットに描かれるエディのイラストもメルヴィン・グラントが新担当になったし、「伝統」と「改革」の歯車がいろんな局面でせめぎ合っている。そのへんを意識して聴くと、よりディープに楽しめる1枚だと思う。

もちろん、本作の一番の「功績」は、やはり何と言ってもタイトル・ソングの“フィア・オブ・ザ・ダーク”だろう。7分超えの大作である同曲は、のちにライブの大定番となり、01年の『ロック・イン・リオ』でも「これってワールドカップ決勝より盛り上がってるよね!?」という伝説の大合唱を巻き起こした。「アイアン・メイデンとは何なのか?」を再考した時期だからこそ生まれ得た、全人類レベルのアンセムである。恐れよ、この世の暗闇を。 (内瀬戸久司)



詳細はWarner Music Japanの公式サイトよりご確認ください。

ディスク・レビューは現在発売中の『ロッキング・オン』9月号に掲載中です。
ご購入はお近くの書店または以下のリンク先より。

アイアン・メイデン フィア・オブ・ザ・ダーク【コレクターズ・エディション】 - 『rockin'on』2019年9月号『rockin'on』2019年9月号
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