日本語に訳すなら、DJヘビ

DJスネイク『カルト・ブランシュ』
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ALBUM

パリを拠点に活動するDJ/トラックメイカーで、ディプロらとのコラボ作でもおなじみのDJスネイク。彼の音楽性を手っ取り早く知りたい方は、ブレイク作になった13年の大ヒット曲“Turn Down for What”のMVを一度観てみることをおススメする。アゲアゲにアガリまくるパーティ・クラッシャーな音楽と、謎のホラー・コメディ風の映像(しょーもない下ネタ多数含む)が完璧にシンクロしてて、気付いたら何度も再生しちゃった!とハマる人も多いはず。YouTubeの累計再生数が「8億超え」なのも納得の「シュールな中毒性」こそ、DJスネイクの必殺技なのである。

本作は、そんな彼の3年ぶりの最新アルバム。収録された全17曲は、ざくっと分類すると、彼の音楽世界を特徴づける3つのジャンルに分けられる。ひとつ目はもちろん、前述の“Turn Down for What”の直系であるウルトラハイパーなダンス・チューンの数々(“クワイエット・ストーム”や“マジェンタ・リディム”など)だ。

でも、それだけじゃない。ふたつ目は、16年のジャスティン・ビーバーとのコラボ曲“レット・ミー・ラヴ・ユー”を彷彿させる、ボーカル入りのEDM風ラブ・ソング。ブライソン・ティラーと組んだ“スマイル”など、パリのナイト・ライフが似合う都会的なロマンティシズムもまた、スネイクのもうひとつの顔である。

そして3つ目は、アルジェリア系フランス人である彼自身のルーツも色濃くにじむ、多国籍的なポップ・ワールド。カーディ・Bらが客演した“タキ・タキ・ルンバ”でのレゲトンから、“エンゾー”のアトランタ・トラップまで、グローバルな最新トレンドを縦横無尽に取り込んでいく嗅覚は、本作ではさらに磨きがかかっている。もしも国連がイビサでパーティを開くことがあるなら、DJはスネイク様にお任せあれ。 (内瀬戸久司)



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ディスク・レビューは現在発売中の『ロッキング・オン』10月号に掲載中です。
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『rockin'on』2019年10月号