「ファンタスティックホームランツアー」終盤、マイヘア初の横浜アリーナ2デイズを収めた映像作品。マイヘアのライブとは、いちばん最初に観たライブハウスでの数百人を前にしたライブでも、ROCK IN JAPAN FES.のGRASS STAGEでの数万人を前にしたライブでも、一切コミュニケーションの質が変わらないわけだが、このバンド史上最大キャパのワンマンでも、それはもちろん同様である。むしろ、実質的なステージと客席の距離が離れていく分、メンバーの姿を克明に収めた今作では、その絶対的な事実を痛感する。「もっとくれよ！」と叫び、のたうち回りながら客席に近づく椎木知仁。音が出なくなったギターを投げ、客席にダイブしてもみくちゃになり、「今夜ここの全員救ってやるよ！」「不格好でもいい、つくりものじゃなければそれでいい！」と、視線の先にある一人ひとりから成る塊に向けて、訴える。計30曲のライブとドキュメント映像等が収められているが、マイヘアの場合、パッケージされている曲もドキュメントなわけで、要するに、ドキュメント中のドキュメント作ってことだ。（小松香里）