青い季節の終わりに

Saucy Dog『ブルーピリオド』
発売中
MINI ALBUM
Saucy Dog ブルーピリオド
リスナーからの共感性の高いバンドというのは、どうしてもその歌詞に注目が集まることが多いと思う。まるで自分のことを歌ってくれているような親身な歌に救われたり、涙が出たり。石原慎也(Vo・G)が綴る等身大の歌が共感を呼ぶSaucy Dogもまた、そういうバンドのひとつだ。だが、そんな彼らが前作から1年半ぶりにリリースする新作ミニアルバム『ブルーピリオド』を聴いた時、何よりも注目したいと思ったのは、そんな歌詞の訴求力と同時に、いや、それ以上に、3ピース編成で、どこまで豊かに感情を表現できるかというアレンジへのこだわりだった。清涼感あふれるコーラスが弾む“雀ノ欠伸”では、不甲斐ない《僕ら》でも自分らしく生きようと歌い、揺らぐテンポの中でエモーションが加速する“スタンド・バイ・ミー”では、終わりゆく青春が「今」をくっきりと浮き彫りにする。今作も使われる楽器は、ドラム、ベース、ギターと、3人の声のみ。それらが言葉と同じぐらい雄弁に感情の起伏を描き、今まで以上に自分自身を掘り下げた石原の赤裸々な歌を、より鮮烈に輝かせていた。(秦理絵)
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