印度からの便り

U2『ジ・エターナル・リミクシーズ‒ EP』
発売中
EP

いまでも熱が冷めやらないU2、ヨシュア・トゥリー・ツアーが12月15 日、インド、ムンバイでのライブで幕を閉じた。そこでは『スラムドッグ$ミリオネア』でアカデミー賞作曲賞を受賞したインド音楽界の大物A.R.ラフマーンと共演した“アヒンサー”を、彼や彼の娘たちと共にライブで初披露したが、インドに謂われのあるアーティストによるEP『The Eternal Remixes』もデジタル配信で発表され、これが最高に楽しく刺激的なリミックスになっている。

イギリス生まれ、アメリカで活躍するカーシュ・カーレイが手がけたのが“プライド”で、サロードやタブラなどの楽器にカッワーリー風のボイスや女性コーラスが加わり、さんざん聴きなじんだ曲が、まったく違った表情を見せて新鮮極まりない。近年注目を集めているインドのDJデュオ、ロスト・ストーリーズが手がけた“ラヴ・イズ・ビガー・ザン・エニシング・イン・イッツ・ウェイ”は、リズム・トラックを変化させ、多幸感あふれるポジティブなサウンドに仕立て直されており驚かされる。ダンス・ミュージック界で注目のOX7GENが手がけたのが“ベスト・シング”で、エレクトロニック・アンビエントの空間を作り、そこにU2を浮遊させる。一体感の強い曲だけに、かえってそこらをかわすような仕上がりは若い感覚ならではで、ベースをブイブイいわせるリミックスも効果的だ。

そして4曲目はマルーン5エド・シーランらを手がける売れっ子アマル・マリクが“ビューティフル・デイ”を料理しているのだが完全なインディアン・ポップスに生まれ変わっていて、これもU2たちが大喜びしそう。代表曲と言っていいものも含め、選曲もベストならば、仕上がりも予想以上のものとなっている。(大鷹俊一)



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ディスク・レビューは現在発売中の『ロッキング・オン』2月号に掲載中です。
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『rockin'on』2020年2月号