昨年の夏にリリースした１stフル・アルバム『Summerly Jam』は、甘酸っぱいノスタルジー香るメロディとグッとくる４声のハーモニーに、小技満載でしかしアグレッシブなアンサンブルで、まるでメタル・バンドがビーチ・ボーイズをプレイ？という作品だ。抜群にキャッチーで、その上、エバ―グリーンなメロと綿密に計算されたコーラス・ワークは、思わず膝を打ってしまうウマさ。ウェルメイドという言葉がぴったりはまるロック・アルバムだったが、今回のミニ・アルバムでスポットを当てたのはライブ。02年に結成し、06年に最初の作品をリリース、と活動歴こそ長いが、活動の軸をライブに据えたのは最近のこと。作曲オタクとしてそのイマジネーションを存分にサウンドに盛り込んできた４人が、ライブ・シーンで揉まれ、そして体感してきた熱量をしっかり作品へと結びつけている。それも、彼ららしいハーモニーやテクニカルなフレーズ、あるいはファニーな味付けや遊び心はそのままに、メロディック・シーンのど真ん中をいくパワフルな作品に仕上げたのだ。やっぱこのバンド、ただものじゃない。（吉羽さおり）