誰もが感じる喜怒哀楽を

宇宙まお『Best Moment』
発売中
ALBUM
宇宙まお初のベストアルバムには、約8年半の軌跡が詰まった全17曲が収録。

枕元にあったロックの神様の忘れ物を手に入れ、喜び勇んでロックを高々と鳴らしたはじまりの曲、“ロックの神様”からはじまり、《空も飛べる気がした》“満月の夜”も、《あの子がすき/ああそれだけでぼくは生きてゆける》と歌う特大のハピネスソング“あの子がすき”も、《似た者同士なのに/ひとつになれない》という切実な孤独感が貫く“声”も──。初期の素朴で凛とした歌声には瑞々しい原石感が漂うし、自ら殻を破ろうとする弾けた“ヘアカラー”や矢井田瞳とのコラボ曲“涙色ランジェリー”、そして“愛だなんて呼ぶからだ”といった最近の楽曲には、大人ならではの重層的な彩りが加わっている。そして一貫して、誰もが日常的に抱いている喜怒哀楽を、食べやすく調理して差し出してくれるような安心感がある。

ラストは弾き語りの新曲“君に幸あれ”。3月に毎朝行っていた配信ライブの中で作り上げていった曲だが、なんでもない朝に漂う幸福感から、明るい未来へ誘う温かさが、強く光る。(小松香里)