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喜怒哀楽、迷い、痛み、奇天烈な衝動……各々の曲に込めた感情を完璧に自身に憑依させ、「上手い」の先にある「いい歌」に辿り着き続ける最新作。最近の彼女は周囲の人々の恋愛事情を取材して曲にするのが楽しいらしく、今作はラブソングが多い。ポップスターになれる素養を存分に示す“季節風”“濾過”“朗読”で心を動かされつつ、きれいな感情だけで済むはずもない恋愛のリアルを映し出す“恋の駆け引きだるい”“最後のお願い”などとも向き合うと、ソングライターとしての描写力の高さがよくわかる。そして編曲のセンスの良さにもぜひ注目していただきたい。歌声を複数重ねて構築したハーモニーが絶大なエネルギーを帯びている“許されたことがある”、ビート、ベース、ピアノ、声のコラージュによって感情を生々しく浮き彫りにする“私は知りたい。”は、音の使い方があからさまにものすごい。気づいている人にとってはもはや当たり前の認識だが、「眉村ちあきは只者ではない」とさらに多くの人々が知るのは時間の問題だと思う。(田中大)(『ROCKIN'ON JAPAN』2025年1月号より抜粋)
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