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河野圭や西田修大、Shin Sakiura、なかむらしょーこ等々の真に信を置く仲間に編曲を委ね作曲も共作した楽曲が大多数を占め、チェンバーポップにインダストリアルにエレクトロニカにと曲調の幅を一層広げている点で、前作『THE ZOMBIE』の路線を正しく継承・発展させている3作目。彼女としては珍しいほどハイにアッパーに跳ねるテクノポップ“Poppin’ Run”も、槇原敬之の筆による、名曲“チキンライス”を彷彿とさせるハートウォーミングなJポップの逸品“クリスマスカード”も素晴らしいが、白眉には恐らく作中で最もシンプルな構成の楽曲で繰り返し《関係ない》と叫び、《どこにも行けない/泣くの簡単よ/おもしろがっとけば あーあ》と諦念を粗野に吐き捨てるグランジソング“関係ない”を推したい。ウェルメイドでバラエティ豊かな楽曲を積み重ねてきたうえでアルバム終盤にこの反骨の一曲が置かれることで、ある種自作自演のカウンターのような働きがもたらされており、潰えぬパンク魂につい頬が緩んでしまう。(長瀬昇)(『ROCKIN'ON JAPAN』2025年1月号より抜粋)
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