この曲で、レジーヌ・シャサーニュは自身初となるベースを演奏。ウィン・バトラーは初めてドラムを担当。レジーヌのボーカルで幕を開けるこの曲は、今年が“巳年(Year of the Snake)”であることにちなんだタイトルとなっており、バンドが再び皮を脱ぎ、新たな姿へ生まれ変わることを象徴している。
本作は『WE』以来となる通算7作目のアルバム。2022年にウィル・バトラーが脱退したが、その他のメンバーはこれまでと変わらず。プロデュースは、ウィン・バトラー、レジーヌ・シャサーニュ、ダニエル・ラノワ(U2、ブライアン・イーノ、ボブ・ディランなどで知られる)が手がけている。
プレスリリースによると、アルバムは「映画的かつ神秘的なパンクソングが10曲収録で全42分」。ウィンとレジーヌが所有するつニューオリンズの「Good News Recording Studio」でレコーディングはされたとのこと。
「アルバムは全体を通して聴く“音の旅”であり、人生を探求するような作品。闇と光、美しさを内包した瞑想のようなアルバムになっている」。
タイトル『Pink Elephant』の意味は、「ある思考を抑制しようとする試みが、逆にその思考を避けられない状況を引き起こすという逆説的な効果を指している」。
トラックリスト:
Open Your Heart or Die Trying
Pink Elephant
Year of the Snake
Circle of Trust
Alien Nation
Beyond Salvation
Ride or Die
I Love Her Shadow
She Cries Diamond Rain
Stuck In My Head
また、バンドは新たに「Circle of Trust」というアプリを立ち上げており、ここで未発表音源を含む独占コンテンツが公開されたり、チケットなどの最新情報が入手できる。すでに“Cars and Telephones”も視聴可能だ。
アプリの登録はこちら:
https://app.afcircleoftrust.com/arcade-fire/sign_up
さらに、リリース後にはいくつかの都市でアルバム全曲を披露するスペシャルライブの開催も予定されている。
今回の『Pink Elephant』は、前作『WE』のリリース直後に報じられたウィン・バトラーへの性的不正行為の告発以来、初のアルバムとなる。2022年にPitchfork が複数の女性による告発記事を掲載し、その後さらに1人加わり、計5名が声を上げた。
記事はこちら:
https://pitchfork.com/news/arcade-fires-win-butler-accused-of-sexual-misconduct-by-multiple-women-frontman-responds/
ウィンは、広報を通じて声明を発表。妻でありバンドメンバーでもあるレジーヌとの婚姻関係を保ちつつ、不倫を認めた上で、関係は合意のものであったこと、自身の行為を正当化するつもりはないが、当時精神的に不安定だったとコメントした。
この騒動の影響で、『WE』のツアーに参加予定だったファイストは出演をキャンセル。続いて前座を務める予定だったベックも理由は明かさないまま降板した。しかしアーケイド・ファイアは予定通りツアーを実施し、後にはフェスのヘッドライナーなども務めている。最近では、米テレビ番組『サタデー・ナイト・ライブ』の50周年記念ライブにも出演していた。
一方、脱退したウィル・バトラーは、ブロードウェイ舞台『Stereophic』の音楽を担当し、トニー賞演劇部門で史上最多となる13部門ノミネート、主要5部門で受賞を果たしている。