『boys』から約1年半ぶり、CDだけでリリースされる『life』と配信だけでリリースされる『love』、それぞれ3曲ずつ。コロナ禍でのリアルタイムの感情を綴りつつ《ないものを探すよりそばにあるものを大切にしたい》と決意する“白春夢”や、シンプルに突っ走るマイヘア印の3ピースアンサンブルにのせて大人になった自分を自覚しつつ子供の素直さを取り戻そうと叫ぶ“子供になろう”といった『life』の楽曲も、《弱さを見せ合える人がいること／それが二人の強さだ》という恋人との関係をたった一言のタイトルに集約させた“味方”や、運命に抗うように疾走する恋を歌った“グッド・バッド・バイ”といった『love』の楽曲も、どこかこれまでとは違う感触がある。もちろん相変わらず徹底的な一人称単数形だし、私小説的であることも変わらないが、どの曲も、迷ったり引き裂かれたり暴走したりするだけではなく、ちゃんと曲の中で自分なりの「結論」までたどり着いているのだ。椎木の中で曲を書いてバンドで鳴らして歌うという行為が状態をさらけ出すというのとは根本的に違う意味を帯び始めている、そんな気がする6曲。（小川智宏）

『ROCKIN'ON JAPAN』2021年1月号より