結成15周年を迎えたOAUの、全17曲というボリュームを誇るベストアルバム。体温を感じるほど近い距離から聴こえてくると思ったら、今年の彼らのキャッチフレーズは「Life With You, OAU」だった。まさに、どんな人生にも、日々の生活にも寄り添ってくれそうな一枚だ。きっと彼ら自身も、自分たちをまるごとOAUに落とし込めるようになったのではないだろうか。改めて思うのは、アコースティックやトラッドを源流とするアーティストなら思いつかないようなフレーズやアレンジが、彼らの楽曲にはちりばめられているということ。言うまでもなく、そこにはBRAHMANを含めた彼ら6人の歩みがナチュラルに表れている。

楽曲が再レコーディングされているところも大きく関わっていると思うが、彼らの表現はどんどん生々しさを増している。特に“世界の地図”は、不安の中に希望を見出そうとしていた今春と重なる。ラストに収録されている井上陽水のカバー“最後のニュース”も、響くべき必然しか感じない。彼らの節目が時代の節目と重なったところからは、OAUの存在意義が見えてくるようだ。(高橋美穂)

『ROCKIN'ON JAPAN』2021年1月号より