サバスの暗黒美がここに花開く

ブラック・サバス『ブラック・サバス4【 スーパー・デラックス・エディション】』
発売中
BOX SET

ブラック・サバスと言えば、オジー・オズボーン在籍時の初期というイメージが強く、極論すればこの4作目(『ブラック・サバス4』)までをベストに挙げる人が多いのではないか。“悪魔のしるし”(6thアルバム『サボタージュ』収録)のリフやソロは圧巻だけど。そもそもバンドの方向性を決定づけたのは、ホラー映画に列を成す大衆を見て、「俺達もブルースをやるのは止めて、怖い音楽でも書いた方がいいかもしれない」(自伝『アイ・アム・オジーオジー・オズボーン自伝』より)というトニー・アイオミの言葉から“黒い安息日”(1stアルバム表題曲)という曲が生まれた逸話を持つ。黒魔術やオカルト要素を落とし込んだ従来の禍々しいヘヴィネスに加え、メロトロンを用いた珠玉のバラード“チェンジズ”を収めた本作は、サバスのアクの強さとメロの良さを両立させた名盤と言っていい。

CD1のスタジオ盤に関しては2021年の最新リマスターを施しており、毒々しい暗黒音は鋭さと重さが増し、異様な破壊力を帯びている。これは絶対に聴くべき。そして、CD2、3はスティーヴン・ウィルソンによるミックスでアウトテイクやセッション、インストなど原曲の持ち味を最大限に引き出したバージョンも一聴の価値アリだ。特に“アンダー・ザ・サン”のインスト版のスリリングな演奏は強烈で、ネイキッド・サバスの魅力を堪能できる。

さらに目玉は本作に伴う73年のUKツアーの模様をフル・ライブで初収録している点だろう。同年のツアーを収めたバンド初のライブ盤『ライヴ・アット・ラスト』よりも曲数は多く、音質も非常に良い。バンド的にはドラッグまみれの時期だったものの、脂が乗った野性味溢れる演奏は最高としか言いようがない。(荒金良介)



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ディスク・レビューは現在発売中の『ロッキング・オン』4月号に掲載中です。
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『rockin'on』2021年4月号