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タイトルからして2ndアルバム『&疾走』で掲げた、聴く者の日常を正しく前進させるための音楽と地続きにあることがわかる。しかし今作は、強烈な音楽体験をもたらしたボカロ曲“人マニア”でその才能を知らしめた原口沙輔が手掛ける“My Gasoline”を筆頭に、単なる音楽性の拡張に留まらない「遊び」が作品全体に滲み出ている。《ただしいフォーム》(“&疾走”)を身につけたうえで、“My Gasoline”では《無限に遊べ 想像力の限り》と内に向いていた視点を外に向け、中毒性のあるトラックの上を何度もループする《不幸なんかじゃ燃えない》という言葉が思考停止した身体を突き動かす。Seihoとの“サマー・テープ”ではたなかとササノマリイのツインボーカルでチルいDiosという新境地を見せたかと思えば、独特の捉え方で《愛》を解釈した“愛がすべて”では3人が鳴らす音の源泉を感じつつその目は正しく前を向いている。TAKU INOUEとの“Loopback”、既発曲“トロイ feat.Daoko”含め、すべてが日々を生き抜くための燃料になりうる音楽だ。(橋本創)(『ROCKIN'ON JAPAN』2024年12月号より)
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