昨年11月にリリースした楽曲"スタンダロン”ではたなか(Vo/前職・ぼくのりりっくのぼうよみ)とササノマリイ(Key・Comp)による初のツインボーカルで見事な調和を見せつけたかと思えば、今年1月にはバーチャルシンガー花譜を客演に迎え既存曲を色鮮やかに転生させた"&疾走(Reverse)ft.花譜”を発表。
並行してYouTubeでは「VS」と名付け、メンバー3人のうち2人が向き合う形でさまざまな楽曲をパフォーマンスする企画も公開されている。
そして3月から始まった対バンツアーが先日ファイナルを迎えた。
今、Diosという生き物が内に、外に、同時に強烈なプレッシャーをかけながら加速度的に形を変えようとしているようにも見えるが、ある種成長痛のような刺激が彼らの求心力を急激に高めているのも事実だ。
3人それぞれがひたむきな音楽探究心をもって得た経験値をDiosに還元することで、バンドとしての有り様は2倍にも3倍にも膨らんでいる。
そんな中、新たなに発表された最新曲”トロイ feat.Daoko”は、上述した対バンツアーでのゲストアクトでもあるDaokoとのフィーチャリング。
バンド名の由来となる陶酔や酩酊を司る 神・ディオニュソスもギリシャ神話に基づくが、同じくギリシャ神話の一つであるトロイの木馬をモチーフとした楽曲だ。
Tomgggによるドリーミーでエレクトロニカなサウンドアレンジで構築された螺旋状に連なる音の波を、《木馬に乗って 回れ 莫迦みたいに》《爆破してよ すぐに中身/見せちゃうから それこそが恋 だから》とトロイの木馬の逸話と恋愛をかけた叙情的なリリックがこそばゆく浮遊していく。
ミドルテンポでありながら、サビでは「とめ」「はね」「はらい」がグッと紙に滲むような達筆加減で放たれるたなかとDaokoの掛け合いが緩やかに身体を前後させ、「躍動」という生理的欲求をくすぐるような展開にはっと息を呑む。
《いずれ芽吹く 形になる 花がひらく/そのはずだった わたし》──悔恨も諦念も垂れ流し、内なる叫びがポップに色づく。Diosという生命の中にはきっと、彼ら自身も知りえない臓器があって、その中で生み出されたいくつもの息吹が今後も吐き出され続けるのだろう。(橋本創)
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Diosの内なる叫びが緩やかに季節を動かす──最新曲”トロイ feat.Daoko”が放つ「躍動」の旋律
2024.04.12 20:00