4月にアルバム『Terminal』のリリースも決定しているYUKIから、その予兆とも受け取れる両A面シングルが届いた。前のアルバム『forme』は、いろんな角度のYUKIを見ることができる、彼女のクリエイター、プロデューサーとしてのスキルが発揮されたものだったけれど、今作からは、いい意味で肩の力が抜けた、軽やかな彼女のスタンスが感じられる。

“Baby, it’s you”にあるのは、《君のスマイル　境界線は無いっす》という語感のよさ、《ミステイク承知の助》なんてちょっぴり昭和（!?）なユーモア。それでいて、しっかり意味も感じられる。《今日も月が綺麗なのは　そう　君が笑っているからさ》――そんなシンプルな幸せに、さらりと目を向かせてくれるのだ。

ぎゅっと言葉が詰まった“My lovely ghost”からは、今の時代や音楽や彼女を象徴するようなフレーズが浮かび上がってくる。《ロックもヒップホップも　セクシャリティも　全方位》――そうそう！ YUKIは、その道を切り拓いてきた立役者のひとりかもしれないと気づかされる。アルバムも「今」こそ聴きたいものになっていそう。楽しみ！（高橋美穂）

『ROCKIN'ON JAPAN』5月号より