EDMの世界では多くの若者が成功を勝ち取ってきたが、若さゆえのテンションで生き急ぐあまり、その後の人生を見誤った例も少なくない。神童と呼ばれてきたポーター・ロビンソンも、この数年間は制作のプレッシャーから鬱状態にあったという。そんなスランプを乗り越えて届けられた7年越しの2ndは、心の闇から解き放たれた喜びと希望に満ちている。
トップDJとして名を馳せてきた彼が、ここでは盟友マデオンの影響もあり、自身の歌とリリックを全編でフィーチャー。“ミュージシャン”で《どうやって音楽を作るの?/そんなの簡単だよ:ただ自分の恐れに立ち向かって、自らのヒーローになるんだ》と歌っているのは感動を禁じ得ない。
生音も交えたピュアで繊細なプロダクションは聴きどころのオンパレードだし、それ以上に振り切ったテンションが胸に刺さる。(小熊俊哉)
ディスク・レビューは現在発売中の『ロッキング・オン』7月号に掲載中です。
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