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ゴージャスなストリングスのイントロに象徴される通り、それこそ歌謡曲全盛時代を思わせるようなサウンドデザインの中に、“おしゃかしゃま”の爆裂ファンクロック感から“グランドエスケープ”での静謐と高揚のコントラストまで、およそ自身の音楽的ボキャブラリーの振り幅を咲き乱れさせたような――つまり「野田洋次郎が己の音楽人生を懸けて新たな冒険に挑んだ楽曲である」と思わせる気迫が、楽曲の全編からリアルに伝わってくる。2025年度前期のNHK連続テレビ小説『あんぱん』主題歌としてオンエア中の新曲“賜物”。一日の始まりを彩るテーマ曲に《いつか来たる命の終わりへと 近づいてくはずの明日が/輝いてさえ見えるこの摩訶不思議で 愛しき魔法の鍵を/君が握ってて なぜにどうして?》と真っ向勝負の真理とファンタジーで挑み、《時が来ればお返しする命》の儚さと素晴らしさを渾身のメロディとアンサンブルで謳歌してみせる。音楽を全身で呼吸し新たな音楽を描く音楽家・野田洋次郎の真髄と呼ぶべき楽曲。(高橋智樹)(『ROCKIN'ON JAPAN』2025年6月号より)
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