こんなこと言っていいのかわからないのだが、最近、とりわけ『AMUSIC』からのsumikaの新曲たちについては、もはや書くことがない。お手上げ。いや、正確に言えばいくらでも書くことはあるのだが、そんな蛇足なんかどうでもいいからとにかく聴いて、と素直に思ってしまうのである。もう、言いたいことを120％注ぎ込む魔術を会得したとしか思えない片岡の歌詞と、sumikaとはこういうバンドですよ、と毎回毎回全力で自己紹介しながらニューレコードを叩き出し続けるメロディとアレンジ。「聴けばわかる」をすべての曲でやってのけてしまっているのが今のsumikaだからだ。どこを切ってもsumika。どの1行を取り出してもsumika。ほら、それ以上書くことないでしょう？ 番組テーマ曲としてOAされた時から思っていたが、この“Jasmine”はいよいよそれが極まっている。最初の3行からして彼らの意思表明だし、サビにはバンドとライブの楽しさや美しさが詰まっている。そしてラストの《愛せ「ハロー」と／抱き合って／この街から始めよう》。「sumika」とルビを振りたくなるくらいの名フレーズ。（小川智宏）

『ROCKIN'ON JAPAN』9月号より