Vaundyの新曲が発表されるたびに、彼のマルチな才能に何度も驚かされてきた。様々なジャンルを軽やかに往来しながら、それぞれのジャンルの本質をシャープに射抜いたアンセムを次々と生み出していく。これは本当にすごいことだと思う。Vaundyが多岐にわたる音楽的スキルと知識を持ち合わせていることは言うまでもないが、それだけでは、この離れ業を成し遂げられる理由として不十分かもしれない。言うなれば、彼は、この2021年の音楽シーンにおいて求められている「ポップミュージック」の在り方を直感的に理解しており、そして、その理想を様々な形で自由自在にデザインする破格のセンスを秘めている。繰り返しになるが、これは本当にすごいことだ。今回の新曲で彼が挑んだジャンルは、ダンスミュージックである。鮮やかに弾ける極彩色のサウンド。ラストに向けて熱量を増していくドラマチックな展開。そして、心躍る気分を過不足なくトレースした言葉たち。それらすべてが非常に痛快で、思わず胸が高まる。この新たなフロアアンセムは、ライブやフェスで披露された時に更に化けるはずだ。（松本侃士）

『ROCKIN'ON JAPAN』9月号より