風と共に巡る旅のような、音楽と人生

Yogee New Waves『WINDORGAN』
発売中
ALBUM
Yogee New Waves WINDORGAN
ボブ・ディランが“風に吹かれて”を歌ってからもう58年も経つが、どれだけ時間が経とうと相変わらず、「答え」は風に吹かれ続けているようだ。《さらば ADIOS GOOD BYE 再見 またね》――「それだけが確かなことなんだ」と言わんばかりに別離の言葉を重ね、《風は猛スピードで 世界を周り/それをみたぼくらは 前みて走る》と歌う“SISSOU”で幕を開けるヨギーの約2年半ぶりのフルアルバムは、永遠に掴めない答えを秘めて吹きすさぶ風に身を任せ、その命を振動させる人間の在りようを力強く、時に彼ららしくドリーミーに、奏でている。

SuchmosのTAIHEIや、ともに東アジアを回ったSunset RollercoasterのKuoも参加。これまではサウンドメイクの妙が光る曲も多かったが、今作は豊潤な音楽の歴史を咀嚼した根本的なソングライティングの骨太さが耳を打つ曲が多く、この2年半でバンドがいかに「素」の筋力を増したかが窺える。前作『BLUEHARLEM』までの「島三部作」が若き理想主義に導かれていたとしたら、今作からは、少し大人になったヨギーの「生き様」が気高く立ち昇ってくる。(天野史彬)

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