また新段階に突入した彼ら

くるり『愉快なピーナッツ』
くるり 愉快なピーナッツ
“愉快なピーナッツ”のギター・リフはロックの王道といえるものだが、同時に鳴っているクラビネットまでリズム・ギター的な使われ方をしているのが面白い。そんな風によく練られた演奏のリズムの上に、やはりよく考えられた歌の言葉のリズムが乗っている。そして出来上がった全体的なグルーヴの心地よさは、くるりのミドル・テンポの曲に特有なものだ。一方、同時収録の“丸顔”にはバッハ風のオルガンが入るが、歌の方は日本語の抑揚を活かしたくるり的なメロディ。また、ちょっとディスコ的なビートの“かもめはかもめ”にしても、上に乗っているのはくるりとしかいえない曲調だ。クラシックの本場ウィーンでオーケストラと共演した前作とは違い、新作はニューヨークで制作中だという。資料には「最新ごった煮カルチャーの発信地ニューヨーク」とあるが、多国籍的で無国籍的なその場所で、くるりは「最新」に接近するのではなく、逆に自分たちの音楽性を見つめ直した曲を作っているのではないか。このシングルは、そう予感させる。新作が充実作になるのは間違いない、と言い切ってしまいたい。(遠藤利明)
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