そもそも2枚組アルバムとして構想され、結果的には来春に『〜Ⅱ』がリリース予定となった連作。そのため全貌はまだ見えておらず、『Remember Me』以降のシングル収録曲や
AC/DCのカバーまでを押さえた本作は、極めて幅広いテーマと音楽性を内包している。幅広いのだが、いちいち腑に落ちるし、エモーションの熱量が損なわれない。なぜか。あまりにも色々なことがあった世界を映し出すロックアルバムだからだ。本作に触れて僕が思い出したのは、
ガンズ・アンド・ローゼズの『ユーズ・ユア・イリュージョンI』と『~Ⅱ』。やはり、カバーを含めた膨大な作風にこそ必然を宿した連作アルバムだった。TVドラマや映画、スポーツなどのカルチャーと結びついたテーマ曲の数々は「色々あった時期」の記憶と今も生々しくリンクしており、オープニングを飾る“yoake”やインスト曲を含む新曲たちは、さまざまな出来事に心を掻き乱されたまま今を生きる我々のサウンドトラックのように響く。すべてを総合して、このタイトルが導き出されたのだろう。しっかり何度も噛み締めて『~Ⅱ』に備えたい。(小池宏和)
『ROCKIN'ON JAPAN』1月号より