リリースにライブツアーに、と大車輪の活躍を繰り広げた、2021年のsumika。ツアーファイナルの舞台であるさいたまスーパーアリーナの2日間は、そもそもコロナ禍で中止となった初のアリーナツアーでスケジュールされた会場であり、2021年初頭にオンラインライブを開催した会場でもあった。「ライブに、お帰りなさい」と告げて幕を開けたステージは、序盤から新曲群を連発し、我々の過ごしているこの特殊な季節を目一杯謳歌する、なんともsumikaらしい内容になっている。「花鳥風月」というコンセプトには、人々とともに四季折々の素晴らしさを共有する、という意図が込められていたわけだが、ありったけの笑顔と生命力を音楽にのせて解き放つこのパフォーマンスは、単に音楽ライブというよりも、困難な時期さえ美しい記憶に変えるひとつのライフスタイルの提案である。この映像作品は、ツアー千秋楽の映像のみならず、初回盤のドキュメンタリーも必見。活き活きとした映像やフォト、メンバーの和気藹々としたトークセッションが交互に織り成す、ある季節の宝物のような記録になっている。（小池宏和）

『ROCKIN'ON JAPAN』4月号より