3回目の大型イベント「YON EXPO'21」の2日間の模様を詰め込んだ特盛りの映像作品が届けられた。まず、架空の運送会社「Yon Express」の拠点を模したステージ（トラックやコンテナ、無数のダンボールなど）が目を引く。各映像演出を含め、それらはまさにメンバー&スタッフの遊び心とDIY精神の塊であり、超巨大なエンタメ空間を丸ごと創出するという気概に痺れる。そして言うまでもなく、「YON EXPO」の真髄は、ステージから届けられる4人の音と歌に宿っている。今回の公演は、10公演のライブハウスツアーを経て開催されたものであり、いくつものライブハウスを熱狂の彼方へ導いてきたパンクロックの精神が、幕張メッセに「直送」され、所狭しと轟きわたる光景は圧巻だ。一方、アコースティック編成で披露された“soup”“Buster call”が特に印象的なように、GEN（B・Vo）が歌い届けるメロディが、広大な会場を温かく包み込んでいく光景は本当に美しいものだ。ライブハウスとアリーナ、そのどちらも自分たちのホームにしてしまう彼らは、やはり本当に頼もしいバンドだと思う。（松本侃士）

『ROCKIN'ON JAPAN』5月号より