デビュー15周年イヤーを締めくくるニューアルバムのタイトルは、ストレートに『Anniversary』。自分たちで自分たちを祝し、多幸感を振りまいているようだ。冒頭の“Spark joy”“Happy”という曲名からも、彼らのメッセージやムードが伝わるはず。続くのはデビュー曲のリテイク“THE IDOL”で、4人が顔を見合わせながら笑顔で演奏するライブが思い浮かぶような、豊かな表情を見せている。ほかにも、「楽器が歌う」バンドの節目に相応しい“Anniversary”、エモーショナルなメロディとゆったりしたテンポに、彼らの歩みをしみじみ思う“WAGON”など、感慨深い楽曲が勢揃い。もちろん、振り返っているだけではなく、生音の温もりに遊び心を混ぜ込んだ“DECO”や、8分超えの物語性のある展開に惹き込まれる“NEW WORLD”、エンドレスで続いていきそうなラストの“Session 317”など、現在や未来も刻まれている。

暮らすように、生きるように、音楽を鳴らすバンドだと思ってきたけれど、今作からは、それが実を伴ってきたことがわかる。15年、この日々に音楽を根づかせてくれてありがとう。（高橋美穂）

『ROCKIN'ON JAPAN』7月号より