昨年のメンバー脱退を経て、今年は逹瑯(Vo)が初のソロ活動を開始、ミヤ(G)は
DIR EN GREYの京らと結成したPetit Brabanconでリリースを行うなど、新たな挑戦が続いた
MUCC。常に刺激を求めている彼らが、新体制や前代未聞のご時世など、「逆境」という名のもとにバンドが生まれ変われる機運を逃すわけがない。2年ぶりのニューアルバム『新世界』でも、活動初期を彷彿させるほどルール無用&ジャンルレスな攻撃性を振りかざしたMUCCが暴れまくっている。時代ごとにさまざまな音楽性を取り入れて「MUCCらしさ」を作ってきたのがこれまでのアルバムだとしたら、今作は、80年代のニューウェイブやダンスミュージック、90年代の歌謡曲、00年代のメタルコア、10年代のヒップホップなどあらゆる年代の音楽への愛を咀嚼してゼロから練り上げたような一枚。逹瑯の表現力も、ミヤのサウンドプロデュース力も、YUKKE(B)のグルーヴ感も、迷いなく未知のネクストステージへ進んでいこうとしている。結成25周年にして、こんなにも「聴いたことのないMUCC」に出会えるとは。(後藤寛子)
『ROCKIN'ON JAPAN』7月号より